二重ルーターとは？原因や確認・解消方法、メリット・デメリットを解説

二重ルーターとは

「二重ルーター」という言葉に聞き覚えはありますか？これは、家庭や職場などで、ひとつのネットワーク上に複数のルーターが接続されている状況を示します。この章では、二重ルーターがどのような場合に生じ、それが及ぼす影響について掘り下げていきます。

自宅での二重ルーター使用の実態とは？

自宅で2台のルーターを設置することは、一つのネットワークに2台のルーターが存在している状態を意味します。

ルーターは一般に、ネットワーク内のデバイスをインターネットに繋ぐための装置です。普通は一台で足りるものですが、二重にするとどんな問題が起こり得るのでしょうか？

デバイスの接続数を増やす必要がある、あるいはLANポートを拡張したい時、ユーザーは敢えて二重ルーター構成を選ぶことがあります。

しかし、この設定には、ネットワーク速度の低下や接続の不安定化といったリスクが伴うため、慎重に行う必要があります。

二重ルーターが生じる主な原因　

よく、ユーザーは自らが二重ルーター環境下にあると認識していない場合があります。それには以下のような理由が挙げられます。

1. ONUに組み込まれたルーター機能を使用しているケース
2. インターネットが既に設備された集合住宅に住んでいる場合
3. 通信品質の向上を目指し、追加のルーターを設置した場合

特に一般的なのは、ルーター機能を内蔵したONUを利用している場合です。

新築のマンションやアパートでは、LANケーブルを挿すだけでインターネット接続が可能な設備が整っていることが多く、これらの施設ではルーターが集合住宅全体で共有されているため、個々の住人が二重ルーターの状況にあると気づきにくいのです。

また、自宅でWi-Fiの範囲を広げたいと思い別のルーターを設置した結果、意図せず二重ルーター状態になることもあります。

二重ルーターのメリット・デメリット

二重ルーターを導入することの利点と、それによって生じる可能性のある不利な側面について、具体的にご説明いたします。

二重ルーターの3つのメリット

二重ルーターのメリットとして挙げられる主な3点は以下の通りです。

1. 複数のデバイスを同時に接続できる容量が増加する
2. LANポートの接続可能数が拡大する
3. セキュリティ対策がより堅牢になる

二重ルーターを設定することで、より多くのデバイスをWi-Fiに接続できるようになり、同時に多数の端末の利用が可能になります。

これは、一度に多くのデバイスをインターネットに繋ぎたいユーザーにとって大きなメリットとなり得ます。また、追加のLANポートにより、有線で接続したい端末の数を増やすことができます。

さらに、二重のセキュリティ機能を活用することで、不正アクセスのリスクを著しく低減させることが可能です。

二重ルーターの設定を突破することは困難であり、その結果、インターネット経由の不正アクセスの可能性は非常に低くなります。

二重ルーターの4つのデメリット

一方で、二重ルーターは便利な一面があるものの、いくつかのデメリットも伴います。

二重ルーターのデメリットとしては、以下の4点です。

1. 回線速度が低下する
2. ルーター間での電波干渉により、通信が不安定になる
3. 異なるルーターに接続されたデバイス間でのデータ共有が困難になる
4. IPアドレスが重複し、特定のWebサービスの利用に影響が出ることがある

二重ルーター環境下では、データは2つのルーターを経由して転送されるため、単独のルーター使用時と比べて回線速度が遅くなる傾向があります。

ルーターが行うルーティング処理が複雑化し、余分な処理が生じるためです。

加えて、ルーター同士の電波が干渉し合うことで、通信が不安定になるリスクが高まります。

有線接続とWi-Fi接続のデバイスが別々のルーターに繋がっている場合、それらの間での通信やデータ共有が制限されることも一つの問題点です。

二重ルーター環境では、オンラインゲームなどの特定のコンテンツが利用できなくなることがあります。

これは、IPアドレスの重複が原因で起こる現象で、二重ルーターの設定を解除することで解決することが多いです。

二重ルーターを放置するとどうなる？

二重ルーターを放置した状態によって引き起こされる様々な状態について、わかりやすく解説します。

もし複数のルーターが設置されていて、何らかのトラブルを経験されている場合は、以下に挙げる状況がご自身に当てはまらないかをぜひ確認してみてください。

インターネット接続できなくなることがある

二重ルーターの存在が原因で、時折インターネットへの接続が失われる場合があります。ルーターは本来インターネットへの接続を担当する装置ですが、複数が存在することで相互干渉が発生し、トラブルが起きるのです。

全く接続できない状態や、接続が不安定になるケース、特定のアプリケーションでのみ接続問題が生じるなど、症状は多岐にわたります。

トラブルが見られない場合もあり、そのために二重ルーターであることを見過ごしてしまうことも少なくありません。

外部からの接続ができなくなる可能性がある

二重ルーターをそのままにしておくと、外部からの接続に関する不具合が生じる可能性があります。外出先からの録画予約やWebカメラの操作などが行えなくなるケースが存在します。

実は、二重ルーターの環境下でも外部接続の設定は可能ではありますが、その設定プロセスが複雑であり、ネットワークの知識があまりない方には難しい作業となり得るでしょう。

二重ルーターの問題を解消する方が、よりシンプルに、迅速に問題解決へと導くことができます。

通信速度の低下を招く可能性がある

インターネットの使用中に感じる快適性を損なう要素として、通信速度の低下が挙げられます。

ルーターはデータの送信経路を決めるルーティングという作業を行いますが、ルーターの台数が増えると、その分処理に要する時間が長くなり、結果として速度が遅れることになります。

また、複数のルーターがWi-Fi機能を有している場合、電波の干渉が発生し、Wi-Fiの速度が低下する可能性も考えられますので、慎重に確認することが重要です。

ファイル共有ができなくなる

二重ルーターの設定下では、異なるルーターに接続されたデバイス同士でのファイル共有が不可能になることがあります。

ファイル共有のみならず、ネットワークプリンタの使用が困難になる場合もあり、特に企業内での使用においては、大きな不便を感じることがあるでしょう。

現状問題ない場合は、どう対処すべき？

二重ルーターに関する多くの問題点を見ていきましたが、現時点で特に不具合が認識されていないのであれば、そのままでも大きな問題はないでしょう。

セキュリティ機能が二重に働くことにより、セキュリティレベルの向上が期待できます。しかし、将来的に何らかの問題が生じる可能性も考えられますし、二重ルーターの解除によって速度が改善された例も報告されています。

問題がないと判断される場合でも、一度検証してみることをおすすめします。

二重ルーターかどうかを確かめる方法

ここでは、ご自宅やオフィスが二重ルーターの状態にあるかどうかを確認する手法を、PCとスマートフォンでの方法に分けてご紹介します。

パソコンを使用して確認する手順

Windows OSをお使いの方は、以下のステップに従ってください。

1. 「Windowsキー」を押し、「cmd」とタイピングします。
2. 出現する「コマンドプロンプト」を右クリックし、管理者として実行します。
3. コマンドラインに「tracert -d 8.8.8.8」と入力し、Enterキーで実行します（-dの前後にはスペースが必要です）。
4. 結果として表示される「192.168.***.***」形式のローカルIPアドレスが2つあれば、二重ルーターの設定になっています。

Macユーザーの確認方法はこちらです。

1. 「スポットライト検索」で「ターミナル」と入力し、起動します。
2. ターミナルに「traceroute 8.8.8.8」と打ち込み、実行します（コマンドと8の間にはスペースが必要です）。
3. 表示された数字が2セット以上あれば、二重ルーターの状況にあると考えられます。

スマートフォンで確認する方法

スマートフォンでは、「Fing」というアプリを使用して確認できます。iPhoneでもAndroidでも手順は同じですので、以下のステップに従って操作してみてください。

1. 「Fing」アプリをダウンロードし、開きます。
2. アプリが要求する位置情報の権限を許可してください。この時点でアカウント作成は必要ありません。
3. アプリ内で「Traceroute」機能を選択します。
4. 対象として「google.com」を入力し、実行します。
5. 結果として「192.168.***.***」の形式でIPアドレスが複数表示された場合、二重ルーターの状態である可能性が高いです。

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なぜ二重ルーターの状態になるのか？

自覚していないのに二重ルーターの状態になっていることは、決して珍しくありませんが、その背景にはどのような事情があるのでしょうか。

インターネットを利用する際、多くの場合、回線事業者からONUやホームゲートウェイなどの機器を借り受けています。

これらの装置は、提供する会社や回線種類によって異なる名称で呼ばれることがありますが、特にホームゲートウェイはルーター機能を内蔵していることが多いです。

このような機器と自分で購入した無線LANルーターを併用すると、知らず知らずのうちに二重ルーターの状況を作り出してしまうことがあります。

また、集合住宅においては、壁にLANポートが備え付けられており、そこからインターネットに接続すると、既存のネットワークシステムと重複して二重ルーターになるケースもありますので、注意が必要です。

二重ルーターを解消する方法

二重ルーターの状態を解消する方法は以下の通りです。

• 二重ルーターのルーター機能を無効にする
• 二重ルーターをアクセスポイントモードに設定変更する
• 新しいルーターへの買い替えを検討する

二重ルーターの解消で最も手軽な方法は、追加で設置したルーターのルーター機能をオフにすることです。デバイス数が多くない場合、一台のルーターで十分なことが多いです。

もし中継機として活用したい場合は、二重ルーターをAPモードに切り替えてください。ルーターによっては、このモードをブリッジモードと称することもあるので、設定時には注意が必要です。

また、通信環境の改善が目的なら、新しいルーターへの更新も一つの選択肢です。

ただし、自身のインターネット契約内容によっては、指定されたルーターを使用する必要がある場合があるため、事前にプロバイダとの契約内容を再確認しましょう。

まとめ

本稿では、二重ルーターの状態にある際に遭遇する可能性のある様々な問題点と、それらを解消するための方法について詳細に解説しました。

意図せず二重ルーターの設定になってしまい、様々な不具合を体験してしまうケースも考えられます。そのため、自宅やオフィスのネットワーク環境が二重ルーターになっていないかを確認することを強くお勧めいたします。

さらに、本記事を通じて、二重ルーターが引き起こす一連の問題点―インターネットへの接続障害、外部からの接続問題、通信速度の低下、ファイル共有の不具合といった具体的な事例を挙げ、それぞれの対処法をご紹介しました。　　

これらの情報が、読者の皆様がより良いネットワーク環境を構築する一助となれば幸いです。

万が一、二重ルーターによる問題に直面している場合は、この記事でご紹介したチェックポイントや解決策を試してみることをおすすめします。

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