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L3スイッチとルーターの違いやメリット・デメリットを徹底解説!

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ネットワーク構築に欠かせない機器であるスイッチとルーター。両者の役割や特徴を理解し、適材適所で活用することが重要です。本記事では、スイッチとルーターの基本的な機能に加え、L3スイッチとルーターの違いや使い分け方について解説します。ネットワーク設計の際に、L3スイッチとルーターのどちらを選択すべきか判断する上で参考にしてください。

 

 スイッチとは

 

まず、ネットワークを構築する上で重要な概念である「スイッチ」の特徴と役割について確認しておきます。   スイッチとは、簡単に言えば「データを宛先に振り分ける機能を持つ機器」のことです。スイッチは、ネットワークに接続された複数の端末間でデータの送受信を効率的に行うために不可欠な機器です。具体的には、スイッチは以下のような役割を担っています。  

  1. データの衝突防止:スイッチは、複数の端末から同時にデータが送信されても、データの衝突が起きないように交通整理をします。これにより、ネットワークの安定性と効率性が維持されます。

 

  1. データの宛先振り分け:ネットワーク内のデータには、「MACアドレス」と呼ばれる12桁のユニークな番号と「IPアドレス」が記載されています。スイッチはこれらの情報を記録し、学習した情報を元に正しくデータを振り分けます。これにより、目的の端末にデータを確実に届けることができます。

 

  1. ネットワークの拡張性向上:スイッチは、ハブと同様にインターネットに接続する機器を増やすことができます。ただし、ハブはデータ振り分け時に送信先を指定できませんが、スイッチは必要な端末だけにデータを送ることが可能です(現在ではスイッチング機能を備えたハブも多いため、両者の違いはほとんどありません)。これにより、ネットワークの拡張性が大幅に向上します。

以上のように、スイッチはネットワークにおけるデータの効率的な送受信と、ネットワークの安定性・拡張性の向上に重要な役割を果たしています。

 

L3スイッチとルーターの違い

 

次に、L3スイッチとルーターの違いについて解説します。  

  • L3スイッチは、LAN同士を接続する機器
  • ルーターは、LANとWANを接続する機器

  どちらの機器も、異なるネットワークにデータを送信する際に最適な経路を決める「ルーティング機能」を有していますが、以下のようにその対象が異なります。  

LAN同士を接続するL3スイッチ

 

L3スイッチは、社内などの限定したエリア(LAN)で使われるネットワーク同士を接続する機器です。L3スイッチは、以下のような特徴とメリットを持っています。  

  1. 多数の端末接続が可能:L3スイッチは、接続できる端末数が多いため、大規模なネットワークの構築に適しています。

 

  1. 効率的なデータ振り分け:スイッチング機能により、L3スイッチはデータを効率よく各端末に振り分けることができます。これにより、ネットワークのパフォーマンスが向上します。

 

  1. 仮想LANの構築が可能:L3スイッチは、VLAN(バーチャルLAN)と呼ばれる仮想のLANネットワークを作る機能も備えています。これにより、接続している端末を仮想のグループに分割し、あたかも複数のLANネットワークを構築しているように管理できます。これは、セキュリティの向上や、ネットワーク管理の効率化に役立ちます。

  ただし、後述するようにL3スイッチにはWANとLANを接続する機能がありません。そのため、L3スイッチ単体ではインターネット接続はできません。あくまで、社内LANなどの内部ネットワーク同士を接続するための機器であり、ネットワーク内の端末をインターネットに接続するには別途ルーターが必要となります。  

LANとWANを接続するルーター

 

ルーターは、社内LANとWANとを接続するための機器です。WANは「Wide Area Network(ワイドエリアネットワーク)」の略称で、インターネットなど遠く離れたエリアと接続されたネットワークを指します。   ルーターの主な役割は、以下の通りです。  

  1. LANとWANの接続:ルーターは、社内LANとインターネットなどのWANを接続するための機器です。これにより、社内の端末がインターネットにアクセスできるようになります。

 

  1. ネットワーク間のデータ転送:ルーターは、異なるネットワーク間でデータを転送する際に、最適な経路を選択します。これにより、効率的かつ安定的なデータ通信が実現されます。

 

  1. ファイアウォール機能:多くのルーターには、ファイアウォール機能が搭載されています。これにより、外部からの不正アクセスを防ぎ、ネットワークのセキュリティを高めることができます。

  一般家庭では、企業のように非常に多くの端末同士でネットワークを構築する必要がないため、通常はONU(光回線終端装置)とルーターがあればインターネット環境を整えることができます。パソコンやスマートフォンを複数台インターネットに接続したい場合は、無線LANに対応したルーターを接続するとよいでしょう。   以上のように、L3スイッチとルーターは、それぞれ異なる役割を持つ重要なネットワーク機器です。L3スイッチは社内LANの構築に、ルーターはLANとWANの接続に用いられます。両者を適切に組み合わせることで、効率的で安全なネットワーク環境を実現することができるのです。

 

 L3スイッチのメリットとデメリット

  L3スイッチには、以下のようなメリットとデメリットがあります。  

  • メリットは、ポート数の多さと処理速度の速さ
  • デメリットは、価格の高さ

 

ポート数の多さと処理速度の速さがメリット

  L3スイッチのメリットは、ポート数が多く(接続できる端末が多い)、処理速度が速いという点にあります。L3スイッチは、通常のスイッチと比べて高性能なCPUとメモリを搭載しているため、大量のデータを高速に処理することができます。これにより、ネットワークの応答速度が向上し、ユーザーは快適にネットワークを利用できるようになります。   また、L3スイッチは多数のポートを備えているため、多くの端末を接続することができます。これは、大規模なネットワークを構築する際に特に重要です。端末数の多い企業などで重宝され、各端末を直接ルーターに接続するのではなく、L3スイッチを間に挟むことでデータのやり取りを効率化しています。   さらに、L3スイッチはVLAN機能を搭載しているため、ネットワークをセグメント化して管理することができます。これにより、ネットワークのセキュリティを向上させ、トラフィックの分離によってネットワークの効率性を高めることができます。   以上のように、L3スイッチは高性能、多ポート、VLAN機能などの特長により、大規模で高速なネットワークの構築に適しています。  

価格の高さとLANポートのみというデメリット

  L3スイッチのデメリットは、価格が高額だという点です。家庭用のルーターは約5,000円/台で購入できますが(ただし、法人用のルーターは高額です)、法人向けのL3スイッチの価格は十万円~/台ほどとなります。   これは、L3スイッチが高性能なハードウェアを搭載しているためです。企業などの大規模なネットワークでは必要不可欠ですが、中小規模のネットワークでは費用対効果を考慮する必要があります。   また、L3スイッチにはLANポートしか付いていません。L3スイッチ自体に無線LAN機能は搭載されていないため、各端末を無線接続でつなぎたい場合は別途無線LANアクセスポイントが必要です。   これは、L3スイッチが主に有線LANネットワークの構築に用いられる機器であるためです。無線LANが必要な環境では、別途無線LANアクセスポイントを用意する必要があり、コストと管理の手間が増えることになります。   以上のように、L3スイッチは高価で無線LAN機能を持たないというデメリットがあります。しかし、大規模な有線LANネットワークの構築には不可欠な機器であり、そのメリットは大きいと言えます。L3スイッチの導入は、ネットワークの規模やニーズ、予算などを総合的に考慮して判断する必要があるでしょう。  

 

 ルーターとL3スイッチの適切な使い分け

  ルーターとL3スイッチは、使用目的に応じて使い分けます。   L3スイッチは、大規模なオフィスなどの内部のデータ転送や通信の管理に適しています。部門ごとに異なるネットワークセグメントが配置されるような場合に、それぞれのネットワークセグメント間のルーティングを行います。これにより、部門間の通信を効率化しつつ、セキュリティを確保することができます。   一方、ルーターは、インターネットなど外部のネットワークへの接続をする際に使用します。外部への接続に必要なルーティングを行うほか、多くの機種でVPN機能をはじめとするセキュリティ対策を提供します。これにより、社内ネットワークを安全に外部ネットワークに接続することができます。   以上のように、L3スイッチは主に社内ネットワークの構築に、ルーターは外部ネットワークとの接続に用いられます。両者を適切に組み合わせることで、効率的で安全なネットワーク環境を実現できるのです。  

 

 L3スイッチとルーターの選び方

 

もしネットワークにルーターがあったとしても、L3スイッチが必要となる場面があります。両者には共通点と相違点があり、どちらを選ぶかはネットワーク設計と実現したい目的によって異なります。  

L3スイッチを選択するケース

  L3スイッチはWAN機能を持たないため、その用途はサブネットを分割し、十分な規模のイントラネット環境にスイッチを配置することに限定されます。具体的には以下のような場合です。   性能や安全性のために、サブネットごとに独自のブロードキャストドメインが必要:L3スイッチを使用することで、サブネット間の通信を制御し、ブロードキャストドメインを分離できます。これにより、ネットワークの性能とセキュリティを向上させることができます。   ハブルームを接続し、L3の判断を行い、ルーターよりも直接的なサーバ間のイーサネット接続を提供:L3スイッチは、高速なイーサネット接続を提供し、サーバ間の通信を効率化できます。また、L3の判断により、最適な経路でデータを転送できます。   ISPのL2回線を通じてオフィス間を接続する際、L3スイッチでリンクを直接終端し、同時にルーティングを設定:L3スイッチを使用することで、ISPのL2回線を直接終端し、オフィス間の接続を確立できます。同時に、L3スイッチでルーティングを設定することで、オフィス間の通信を最適化できます。   より高いスループットと直接アクセス、およびVLAN間通信が求められる場合:L3スイッチは、高速なスイッチングとルーティング機能を備えているため、高いスループットと直接アクセスを実現できます。また、VLAN間の通信を効率的に行うことができます。   多くのブロードキャストを含み、より高性能なVLANが必要なネットワーク:L3スイッチは、高性能なVLAN機能を提供し、多くのブロードキャストを含むネットワークでも効率的に動作します。  

ルーターを選択するケース

  WANリンクがイーサネットベースになるにつれ、ルーターの代わりにL3スイッチを使用するケースが増えています。ただし、ルーターには、L3スイッチがサポートできない特別な機能がいくつかあり、以下のような状況では置き換えられません。   インターネットを提供するために、直接ISPと接続する場合はルーターが適している:ルーターは、インターネット接続に必要な機能を備えているため、ISPとの直接接続に適しています。   安全な方法でパブリックインターネットを介してオフィス間にトンネルを構築する必要がある場合、ルーターのほうがニーズに合っている:ルーターは、VPNなどのセキュリティ機能を提供し、安全なオフィス間接続を実現できます。   MPLS(ラベルと呼ばれるタグを使用したパケット転送技術)設定のCE(顧客側に設置されたルーター)として機能させる場合はルーターが必要:MPLSネットワークでは、CE(Customer Edge)ルーターが必要です。L3スイッチではMPLS機能をサポートしていないため、ルーターを使用する必要があります。   以上のように、L3スイッチとルーターにはそれぞれ適した使用場面があります。ネットワークの規模、要件、予算などを総合的に考慮して、適切な機器を選択することが重要です。両者を適材適所で活用することで、最適なネットワーク環境を構築できるでしょう。  

 

まとめ

  ネットワーク構築に不可欠なスイッチとルーター。スイッチはLAN内の効率的なデータ転送を、ルーターはLANとWANの接続を担います。L3スイッチは大規模イントラネットに適し、高速処理と多ポートがメリットですが、高価なのがデメリット。   一方、ルーターはインターネット接続やVPN、MPLS機能が求められる場面で選ばれます。ネットワークの要件に応じて両者を適材適所で使い分け、拡張性も考慮した長期的な設計が重要です。ビジネスの生産性と競争力を高める、最適なネットワーク環境の構築を目指しましょう。

 

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